梨木香歩さんの連載エッセイ「新・炉辺の風おと」(サンデー毎日2024年8月11日号)で、八木清『ツンドラの記憶 エスキモーに伝わる古事』を紹介していただきました。
私たちもまた、例えば八木さんの写真を手がかりにして、風や大地の精霊たちの肌触りが感じられるような世界に、遠い親戚の一人として(彼らは氷河期に凍りついた海を渡っていったモンゴロイドだ)アクセスできるのではないか。消えゆく少数民族の「語り」を、自身の内奥に保管しておくということ。それは、都市に生きる私たちの精神世界に活力を取り戻し、より豊かにする秘密の通路になりうるのではないか。
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